こんにちは!
高齢化が進む現代において、「介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)」は、多くの家族にとって大きな支えとなっています。
この総合事業は、高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を続けられるよう、地域密着型のサービスを提供しています。
しかし、制度内容が複雑であるため、理解が難しいこともあるでしょう。
今回は、総合事業の仕組みや利用方法、さらに介護保険制度との違いについて、わかりやすく解説します。
総合事業とは?
「介護予防・日常生活支援総合事業」は、介護が必要になる前の段階で高齢者を支えることを目的とした制度です。
従来の介護保険サービスと異なり、要支援認定を受けていない高齢者でも、基礎的な心身状況のチェックを通じて早期に支援が受けられるのが特徴です。
例えば、65歳以上の高齢者であれば、地域の窓口で「基本チェックリスト」を使って生活支援が必要と判断された場合、特別な認定を受けることなくサービスを利用できます。
※介護保険サービスって?と思ったかたは、下記の記事を参考にしてね!
総合事業と従来の介護保険サービスの違い
総合事業は地域の実情に合わせて柔軟にサービスを提供することを特徴とし、従来の介護保険サービスといくつかの点で異なります。
以下に、総合事業と従来の介護保険サービスの違いを比較表にまとめました。
項目 | 従来の介護保険サービス | 介護予防・日常生活支援総合事業 |
---|---|---|
サービス提供の仕組み | 国の基準に基づき、全国一律でサービスを提供 | 市区町村が主体となり、地域に合わせた多様なサービスを提供 |
対象者の認定方法 | 要介護認定が必須 | 要支援認定を受けていない高齢者でも、基本チェックリストで支援が必要と判断されれば利用可能 |
地域の関与 | 専門職が中心にサービス提供 | NPO、地域住民、ボランティアなど多様な主体が関与し、地域全体で高齢者を支援 |
費用と報酬体系 | 国が定めた報酬単価に基づく | 市区町村が独自に利用料を設定でき、地域によって異なる場合もあり |
サービス利用の流れ
総合事業の利用手続きは、以下の5つのステップで進められます。
利用者と家族がスムーズにサポートを受けられるよう、市区町村の相談窓口や地域包括支援センターが手助けします。
1.相談・申請
- 最初に、市区町村の相談窓口または地域包括支援センターに相談します。
家族や本人の生活状況について相談し、適切なサービスを確認します。
※相談窓口については、下記の記事を参考にしてね!
2.基本チェックリストによる状況確認
- 相談後、簡単な質問が記載された「基本チェックリスト」を使用して、支援が必要かどうかを確認します。
日常生活の中で困っていることや体の不調などについて記入し、支援が必要と判断されると、次のステップへ進みます。
3.サービス利用の可否判断
- 基本チェックリストの結果をもとに、サービスを利用できるかどうかを市区町村が判断します。
要支援や要介護の認定を受けていない場合でも、ここで支援が必要と判断されると、総合事業を利用できます。
4.ケアプランの作成
- 地域包括支援センターの担当者が、利用者のニーズに合わせたケアプランを作成します。
ケアプランには、訪問型サービスや通所型サービスなど、利用者に最適な支援内容が含まれます。
※地域包括支援センターについては、下記の記事を参考にしてね!
5.サービスの開始
- ケアプランに基づき、具体的なサービスが開始されます。
訪問型の生活支援やデイサービスでの機能訓練、地域サロンでの交流活動など、利用者の状況に応じた支援が提供されます。
総合事業のメリットとデメリット
総合事業は多くの利点がありますが、地域ごとの違いや事業者への負担増など、いくつかの課題も存在します。
家族としては、メリット・デメリットをよく理解したうえで、最適なサービスを選択することが大切です。
メリット
- 要介護認定なしで利用できる
総合事業では、要介護や要支援の認定がなくてもサービスを利用できるため、軽度の支援が必要な段階からサポートを受けられます。
これにより、健康寿命を伸ばし、介護を予防することが期待できます。
※介護予防の重要性については、下記の記事を参考にしてね!
- 地域に応じた柔軟なサービス提供
市区町村が地域ごとのニーズに応じたサービスを提供するため、より柔軟で多様な支援が期待できます。 - 地域コミュニティの活性化
NPOやボランティアが関与することで、地域全体で高齢者を支える意識が高まり、住民同士の助け合いが促進されます。
デメリット
- 地域ごとのサービスの違い
市区町村ごとにサービス内容や利用料が異なるため、同じサービスでも地域によって異なる体験が生じる可能性があります。 - 事業者への負担
NPOやボランティアの参加により、事業者が関与しづらい場合や報酬の低下によって負担が増える場合もあり、サービスの質が維持できないリスクもあります。
サービス内容の詳細
訪問型サービス
- 内容:
生活支援や機能訓練などを自宅で提供 - 具体例:
掃除、洗濯、調理、買い物支援など - 対象者:
要支援認定者、または基本チェックリストで支援が必要と判断された65歳以上の高齢者
通所型サービス
- 内容:
デイサービスセンターなどでの機能訓練やレクリエーション - 具体例:
集団体操、レクリエーション、介護予防運動など - 対象者:
要支援認定者、または基本チェックリストで支援が必要と判断された65歳以上の高齢者
一般介護予防事業
- 内容:
65歳以上のすべての高齢者を対象に、体操教室や地域サロンでの健康維持活動を提供 - 具体例:
体操教室(100歳体操など)、介護予防講座、趣味活動など
2024年度の変更点
2024年からは以下のような新しい変更が導入され、サービスの質向上と効率化が図られています。
- 居宅介護支援事業所(ケアマネージャーの事業者)による介護予防支援が可能に:
今までの訪問サービスに加え、居宅介護支援事業所が予防支援を行えるようになり、さらに細やかなケアが期待されます。 - 科学的介護情報システム(LIFE※厚労省へのデータ提出)の活用促進:
サービスの質をデータで管理・評価するシステム「LIFE」を積極的に活用し、ケアの質を高める取り組みが進みます。 - 標準様式の導入で文書作成の簡略化:
書類業務の負担を軽減するための標準様式が導入され、事業者の作業負担が軽くなる見込みです。
介護予防・日常生活支援総合事業を利用する際のポイント
家族として知っておきたい総合事業の利用のポイントをまとめました。
・地域の窓口で相談を
総合事業は市区町村ごとに異なる仕組みで運営されているため、まずはお住まいの地域の包括支援センターに相談し、詳細な情報を得ることが大切です。
・地域のボランティア活動に参加を
総合事業では地域住民やボランティアの力を借りて支援が行われています。
ご家族や本人も参加することで、地域のつながりを深め、より充実したサポートを受けることができるでしょう。
・基本チェックリストの活用
要介護認定を受けていなくても、基本チェックリストを通じて支援が必要と判断されればサービスを利用できます。
日常生活で困っていることがあれば、積極的に相談しましょう。
・ケアプランを定期的に見直す
介護や支援の必要性は、年齢や健康状態によって変わっていきます。
定期的にケアプランを見直し、本人の状態に合った最適な支援を受けられるようにしましょう。
家族にとっても、この総合事業の理解と活用は、介護の負担を軽減し、本人の自立を支えるために欠かせない手段です。
地域住民やボランティアとの協力により、住み慣れた場所で安心して暮らし続けられる社会の実現に向け、今後もこの総合事業がますます充実していくことが期待されています。
まとめ
介護予防・日常生活支援総合事業は、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、多様な支援を提供する重要な制度です。
従来の介護保険サービスとは異なり、地域の実情に応じて柔軟に支援内容を調整できるため、高齢者一人ひとりに合ったサービスを届けやすい点が大きなメリットとなっています。
また、要介護認定がなくても支援が必要と判断されれば利用可能なため、軽度の困難を抱える高齢者にとっても手軽にサポートを受けることができます。
早期にサポートを受けることで、フレイル※を防ぎ、健康寿命を伸ばすことが期待できます。
家族や本人にとって、地域での支え合いを実現するこの仕組みを積極的に活用することで、介護の負担が軽減され、安心して暮らし続けられる環境が整えられます。
地域の窓口に相談することで、必要な情報を得て、適切な支援を受ける第一歩を踏み出しましょう。
それでは、今日はここまで!
最後まで読んでくれてありがとう〜!
今回の記事が、少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。
ではまた、次の記事でお会いしましょう〜!
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